北海道大学工学院試を落ちた話
正直、試験内容は思い出したくないほど悲惨なので記録として残しておくか迷ったのですが、少しでも北海道大学工学院への進学を検討されている方の参考になれば良いなと思って残しておきます。
なぜ北海道大学なのか
理由はいくつかあるけど、一番大きなものは興味を持っている分野について先進的な研究を行える研究室があるから。
島大でそれができるなら大学院も島大で良かった。
院試に必要な知識と分野
北海道大学工学院への入試に必要とされる学問分野と大まかな各内容は以下の通りです。
学問 | 内容 |
---|---|
材料力学 | 引っ張り、曲げ、ねじり、3軸応力、ひずみエネルギー(カスティリアーノの定理)など |
機械力学・制御工学 | 制御工学と機械力学の基礎部分についての問題なので、島大生なら復習さえすれば満点取れます。 |
熱力学 | サイクル効率、湿り度・乾き度、エクセルギーについての応用問題など |
流体力学 | 非粘性・粘性・非圧縮、NS方程式・境界層方程式、ベルヌーイの定理の応用、複素速度ポテンシャルの応用問題など |
英語 | TOEIC or TOEFLスコアを求められる。工学院で用いられているTOEFLの点数換算方法が分からないので個人的には点の取りやすいTOEICをお勧めします。 |
太字部分は島根大学で学ばなかった概念です。主にこれらの内容を3.5カ月間独学しました。
勉強スケジュール
今回の院試に向けて以下の通りスケジュールを組んで勉強しました。
- 4~5月:TOEFL iBTに向けた勉強(オンライン英会話が主)
- 5~7月:4力精選問題集で問題を解きながら基礎知識の習得
- 8月:過去問を解いて実際のテストのシミュレーションを行う
ちなみに、英語の勉強に関連した内容は以下の記事にまとめてあるので必要でしたら確認してください。
機械系学科院試に必須の一冊
正直、この本と各学問の便覧(JSMEシリーズ)などを参照すればしっかりと知識が身につくと思います。
- この本にはたくさんの誤植があります。問題集としては優れていますが書籍としては…
- 自分は4月にこの本を購入しましたが、5月にはAmazonで高値で転売されてました。早めの購入をお勧めします。
- また、購入する際は転売ヤーから購入することだけは避けましょう。
- (身内ネタになるのですが、この本で扱う熱力学・流体力学の内容は島根大学で学べる内容を超えています。
悲しみ…)
試験日程について
- 8/24:TOEFL ITP(受けたい人は受けれます)
- 8/25:筆記試験
- 8/26:面接(紙面上は一人5分)
今年はコロナの影響で英語について十分な点数を出せなかった学生を救済するためにTOEFL ITPが急遽設けられました。
自分は5月に受けたTOEFL iBTよりもいい点が取れるとは思わなかったのですが、ワンチャンに掛けてITPも受けました。
TOEFL ITPはこの記事の主役ではないので詳細は省きますが、正直かなり不幸でした。
筆記試験
午前中に行われた材料力学・機械力学・制御工学の試験ですが、関数電卓忘れました。
この正念場で電卓をホテルに忘れました…(しかも得意の材力・機力・制御でこれをやってしまった)
とは言っても電卓が無くても解ける問題がほとんどだったので、そこまで結果に影響はなかったと思います。
午後の流体・熱力には電卓を用意できたのですが、恐らく流体6割、熱力3割くらいしか回答できなかった(これが落ちた一番大きな理由)。
絶望。
面接
「この筆記試験の結果じゃあ落ちたな(確信)」と思っていたので面接に行くのがかなり億劫でした。
面接では以下を答えてくださいと言われました。
- 志望理由
- 卒業研究(に着手しているのであれば)について
さらに質問としてあったのは、
- 合格した場合は必ず入学するのか
- 希望先の教授とはすでにコンタクトを取ったか
- 現在就活しているか・他の大学を受験中か
- 北海道大学に落ちた場合はどうするのか
- 前日の筆記試験についての手ごたえはどうか・どの教科が難しかったか
- 北海道大学と島根大学のカリキュラムでは学習内容が全く異なると思うがどうか
でした。
以上について、流石に面接の時間が短すぎて卒業研究については説明する時間が無いと思い、一応前もって用意していた資料を渡しました。
面接官の皆さんはこの資料を説明の代わりとして受け取ったらしく、卒業研究について自分から特に説明する必要は無くなりました。
紙面上は面接が5分しかないと分かっていたので、志望理由については自分のバックグラウンドと共に理由をそれなりに上手く手短に説明できたと思います。
ちなみに、面接で何を聞かれても答えられるよう前もって練習してから望みました。これマジで大事。
トビタテ留学JAPANの圧迫面接を経験した身としては院試の面接はかなり気が楽だった。面接についてはおそらく満点だったと思います。
ちなみに面接時間は5分をわずかにオーバーし、7分程度だったと思います。
他大学院死まとめ
- 希望する教授・研究室には早めにコンタクトを取りましょう
自分の場合はコロナのせいで留学予定が無期限の延期になったりと急な予定変更を迫られたので5月に入ってようやく希望する教授にコンタクトを取りました。既に国内の大学院進学を予定している方はもっと早めに連絡しておくことをお勧めします。
- 出来るだけ内部の学生とコンタクトを取りましょう
自分の場合は院生を一人紹介してもらったのですが、今思えば院試(の特に勉強の進め方)についてより情報を集めておくべきだったなと思います。
- 出来るだけ2足、3足のわらじは避けましょう
今回の件について、3.5カ月間で研究+講義+院試験対策の3足のわらじを履いてしまった、というのが不合格になった一番大きな理由だと思っています。2足、3足のわらじを履きたいのであればもっと前から院試験対策を始めるべきだったと感じます
(まあ今回それが出来るのはコロナを予測できていた人のみということになりますが)。
最後に
またまた身内話になりますが、島根大学機械と北海道大学機械ではカリキュラムが違い過ぎていて、島大生が北大院を目指す場合、学習内容は半分以上が新しい概念の独学になると思います。
もし、これを読んでいる後進の皆さんが北大院への進学を望むのであれば、その違いを理解した上で長期的に学修内容を自分で構築する必要があると思います。
院試験にかかる費用は決して少額では無い上に準備によって得られる事柄も少ないです。試験に落ちてしまえばそのお金をドブに捨てるのと同じですからそれなりのリスクがあることを理解しておいてください(自分は十分に理解してなかった)。
しっかりとした準備を行うことをオススメします。皆さんの武運を祈っています。
今回の院試験でだいたい8万円ほど北海道にふるさと納税しました()