初めて査読付き論文を書く際に気を付けた方が良かったこと
この記事を書いた背景
学部三年生の頃から長いこと付き合ってきた↓のテーマの研究について、ある程度結果がまとまったので指導教員に薦められて査読付きの論文として投稿することにしました。
今年1月ごろから書き始めて、2021/10/31現在、提出した論文のレヴューが返ってくるのを待っている状態です。
実は、論文の仕上がりで言うと大体8割くらいが仕上がっていた頃、たまたま↓のツイートを見て「ああ、確かにこういう内容は前もって知っておきたかったなあ」と思ったので、自分も今回の論文執筆の機会から得られた知見をまとめておこうと思った次第です。
先日初めて査読付きの研究会に投稿しまして、その経験から「論文の書き方(メンタル編)」をまとめてみました。メンタル管理を主とした論文の書き方というのはあまり見かけないと思うので、経験が少ない方を中心に多くの人に役立つといいなと思っています。https://t.co/QqlqBUvgJQ
— kikuzokikuzo (@kikuzokikuzo) October 4, 2021
気を付けた方が良かったこと
細かい点を挙げるとキリが無いので別の機会に紹介します(多分)。今回挙げるのは一般的に重要な次の4点です(優先度順)。
- 日にちを(できるだけ)空けずに書き続ける
- 最初に立てた計画を可能な限り守る・守れなくても計画を随時アップデートする
- 定期的かつこまめな論文のレビューの依頼
- (一層)趣味の時間を大切にする
以下、補足です。
日にちを空けずに書き続ける
これができれば論文は8割書けたも同然だと思います。
私の場合、学会発表が終わった3月の春休み期間中に3週間ほど論文を読まず・書かずの期間を作ってしまったことなどもあって論文投稿が大幅に遅れてしまいました。
ちなみに↓のスマートフォンアプリを呑気に作ってましたw
日数を空けた後に論文を書き始めるのは億劫になりがちですし、特に論文の訂正がある場合はなおさら辛いと思います(少なくとも自分は辛かった)。
最初に立てた計画を可能な限り守る・守れなくても計画を随時アップデートする
この辺りの話は論文執筆以外にも当てはまる話かなと思います(アジャイル開発に近しいものがある)。
私の場合、論文執筆に日数を空けてしまっただけでなく、予期せぬデータの誤りが見つかったせいで大幅な計画の見直しが必要になりました。
そもそもどうしたら予期せぬデータの誤り
を出ないようにするのか、についてはここでは触れませんが、偶発的に生じる問題に対面した場合にどれだけ早く軌道修正できるかが、筆者のメンタルを保つためだけでなく、より質の高い論文を執筆するための鍵だと思います。
定期的かつこまめな論文レビューの依頼
これに関して、自分はある程度徹底できていたのですが、論文を書き始めたころはそこまでできていなかったので挙げています。
論文を書き始めたころは、毎回緒言
→理論
→計算例
→結言
の全セクションを訂正し終えてからレビューをお願いしていたのですが、そうすると序盤で大きな修正が必要になった場合に後半のほとんどを削除するか大幅な書き直しが必要になっていました。
これだと非常に効率が悪かったので、途中から下記二つの変更を加えました。
- 理論 → 計算例 → 緒言 → 結言(つまり主要部 → 従属部)のセクション順で訂正
- 1つのセクションの訂正が終わった時点でレビューをお願いする
論文を書き慣れている方としては「そんなん当然じゃん」となること間違いなしですが、執筆始めたての頃には中々気付けなかった点でした。
それと加えて、レビュアーが忙しいのを知っていたので「こんな細かい部分(あまり内容に大きな影響を与えない文章表現など)をどうすべきかわざわざ聞いて良いのかな」みたいなことを最初はよく思っていましたが、論文執筆の最終段階ではほとんど気にせず聞いていました。
最終的にはある程度(自分の場合は45分)調べても分からない事はレビュアーに相談するようにしていました。
(一層)趣味の時間を大切にする
この点だけ他と気色が異なりますが、執筆者のメンタルを良好に保つために必要な要素だと思ったので挙げておきます。
初めに紹介したツイートにあった「論文の書き方 - 主にメンタル面の対処を中心として」のタイトル通り、論文執筆は立派な社会人でもストレスが貯まらざるを得ない重労働だと思います。学生だと尚更ストレスを感じやすいと思います。
数学的証明を一切省きますが、若い==無茶できるは偽です。
人間はストレスが許容値を超えると壊れます。良い論文を書くには(良い仕事をするにはに言い換えても良い)、論文執筆以外の時間をどれだけ豊かに過ごせるかがとても大切だと私は考えています。
最後に
論文執筆は大変ですが、自分の(自分だけのではないが)成果を世に出せるのは研究者・技術者冥利に尽きることだと思います。
私自身、論文を書き続けられる職場に行けるかは未定ですが(絶賛就活中)、行くにしても行かないにしても「色々な研究の大変さ(本当に色々ありすぎる)」や「公式な文章を作る際の心構え etc.」を深く知れた良い機会でした。